オーストラリア看護師「早山明葉」さんをインタビュー!
2022年9月9日




早山 明葉
キャンピングカーで暮らし
オーストラリアにて正看護師(RN)として活躍。
SNSで海外での看護師生活やバンライフ等について多方面に発信。
記事のポイント
- 看護師資格(RN)を取得するまでの道のり
- キャンピングカーでの暮らし




目次
看護師になろうと思った理由






一人一人へのケアを大切にしたかった。
先天性心疾患を持って生まれた私は、病院に通うのがある意味日常的な子供時代を過ごしました。手術も数回経験しています。だから医療従事者は身近で、特に看護師さんは優しく接してくれ安心できる存在でした。この経験があったので、幼いころから医療従事者になりたいと思うようになりました。
でも初めに目指したのは看護師ではなく、放射線技師だったんです。実際に学校にいって実習も経験しました。学校での勉強は楽しかったし、多くの患者さんが早く診断を受け適切な治療を開始するために、撮影をこなさなければならないのは理解していました。でも、撮影そのものがすべて流れ作業のように感じてしまい、実習中に自分のやりたいことではないように感じ始めました。「私がしたいのは一人ひとりのケアなんだ」と気がつくと、勉強する意欲が下がってしまい、卒業は出来たんですけど国家試験には受からなかったんです。
それから看護師になるために、学校卒業後2年看護助手として病院で勤務しながら、23歳で都立看護専門学校に入学。少し遠回りをして私は看護師になりました。
正看護師(RN)の資格を取るまでの道のり






たくさんの困難を乗り越え、RNを取得!
看護師免許取得後、都内の公立病院で呼吸器内科3年勤務しました。一般的に3年働いたらみたいによく言われていますよね? 私も3年働いた時に、「異動かな? 退職かな? どうしようかな」って考えたんです。家庭環境からもともと海外に興味があったので、29歳でしたが、ワーキングホリデーにてオーストラリアへ渡り、派遣登録をして派遣会社が提携している介護施設でアシスタントナースとして働き始めました。
1年後に帰国したものの、次第にオーストラリアにまた戻りたいという気持ちが強くなりました。そして同じ時期、アシスタントナースとして留学していた方がオーストラリアで看護師を目指している姿を見ました。その時の私にはハードルの高さを感じ、自分には無理かなと感じていました。しかし1年たった時、「私にもできるかもしれない。いや、失敗するかもしれないけど挑戦したい。」と考え、オーストラリアで看護師になることを決意しました。
まずは日本で応援ナースとして派遣看護師をしながら、語学学校に通う準備を始めました。その後、2016年シドニー短期語学留学(3ヶ月)、2017年大学留学を経て、オーストラリアの看護学士を取得することができました。




ところが最後の関門である英語の試験を突破できませんでした。英語の試験は2年以内にパスしないといけない。でも、何度挑戦してもパスできなかったんです。受験の都度費用もかかるので、経済的な負担も大きく、その上精神的な負担も大きかった。心身ともに疲弊してしまったんですよね。
自分自身を見直すために一度は完全に夢を諦め、ゆっくり過ごすことにしました。再びアシスタントナースとして働いて半年くらいたった時に、日本の友人と話す機会がありました。当時、彼女はイギリスで看護師として働くため、夢にむかって頑張っているところでした。その時、一つの目標に向かって一生懸命努力している彼女のことが、とても輝いて見えたんです。
「私もオーストラリアで、いろんなことを乗り越え、看護学士も取得できたのに、たったひとつ英語の試験をパスできなかったことで、どうしてこんなに劣等感を抱かなきゃいけないんだ。」
「看護師を目指すというより、まずは英語の試験をパスできれば自信を取り戻せるんじゃないか」
とそう考え、再度一念発起し英語の学習を再開しました。そして、規定のスコアをクリアし、2021年にRN(正看護師)の登録ができました。
あの時、彼女がいなければ今の私はなかったと思います。不安や悩みを打ち明けたり、一緒に頑張れたりする仲間がいるって大切ですよね。
現在の活動や生活スタイルについて






仕事でも私生活でも私らしいスタイルで。
アシスタントナースとして働いていた介護施設で、看護師として正式に働くことになりました。実際に看護師として働いてみて最初に感じたのは、アシスタントナースの仕事のほうが楽しかったということでした。勤務先でかなり変わる部分かと思いますが、その介護施設では看護師になると、事務が帰った後の電話対応やシフト調整、スタッフの教育など、管理業務を多くしなければなりませんでした。利用者さんと関わる時間が減ってしまったんです。
私はケアに携わりたい気持ちが大きかったので、しばらく働いた後に公立病院へ移りました。田舎の病院なので、助手さんがいるわけでも検査科がいるわけでもないし、医師が点滴をするわけでもないので看護師が行う仕事が多くなります。でも、そのぶん患者さんと関わる時間が増えやりがいを感じています。








そして現在は、2つの病院でダブルワークをしています。いずれはフリーランスとしての働き方にシフトできればなと考えています。その理由は、たくさんの職場と生活環境を体験してみたいからです。
「生活環境?」読んでいてそう感じた方もいると思います。なんと私は、現在キャンピングトレーラーで家にとらわれない生活をしています。日本ではあまりないスタイルだと思いますが、海外ではそういった方々も少なくないんです。私の場合、パートナーの影響も大きいですが、バンで暮らし始めて4年目が経ちます。初めは季節に応じて移動していましたが、2年目くらいから移動した場所で働くようになりました。様々な場所で、様々な人・価値観と出会うことができます。毎日が刺激的で、自分自身を見直す機会を与えてくれます。
他にも、
ボランティアで救急隊にも所属したり。
オンラインで医療英語試験の対策講座やトークイベントを開催したり。
SNSでオーストラリア、特に田舎の医療や看護師の仕事について発信したりしています。
今後の展望






海外を目指す看護師をサポートしたいです。
前記のとおり、現在ダブルワークをしています。2年程、現在の病院・地域でRN(正看護師)の経験を積んで、いずれは派遣看護師・フリーランスとしての働き方に移行したいです。キャンピングトレーラーで移動して、各地で仕事しながら生活をするのが目標ですね。
また、海外で看護師を目指す人のサポートをする活動として、SNSやブログでの情報発信を活発にしていきたいなと思っています。人によって様々ですが、海外看護師になるためのハードルの高さを感じている方々は、まだまだ多い現状があると考えています。その人その人で、壁に感じていることはきっと違いますが、私の経験がそんな人たちを勇気付けられたらと思っています。
その中でも、英語試験対策として、
個人OETスピーキングレッスンも現在行っています。
あなたの夢への一歩を、応援させてください!
読者へのメッセージ






ゆっくりでもいい。自分らしく歩んでいくために。
私はオーストラリアで看護師になるまでに、他の人よりすごく時間がかかりました。一度は夢をあきらめたけれど、また挑戦して夢を叶えました。
だから頑張っている人たちに伝えたいんです。
何かに挑戦する時は精神的につらいことがたくさんあり、諦めたくなることもあると思います。そんなときは一度立ち止まっても良いんです。「継続は力なり」。それはその通りだと思うんですが、その言葉にとらわれすぎて一度止まったら終わり、と感じている人もいるかもしれません。少なくとも私はそうでした。
でも一度止まっても、私は夢を実現することが出来ました。だから私の経験が誰かの背中を押すことになったら嬉しいな、と思っています。
自分には無理とか、やってみたいけど怖いとか、と思うことはありませんか?私もそうだったし、今でも新しい挑戦は怖いからわかります。でも人生は一度きりで、時間はあっという間に過ぎていきます。失敗したって大丈夫。その経験も必ず何かの糧になります。そして、あなたにはあなたも気づいていない力があるはず。
ゆっくりでも前に進んでいきませんか?私に何かお手伝いできることがあったら、ぜひ教えてください。仲間がいるとパワーがもっと出ます。一緒にチャレンジしていきましょう!
早山明葉さんのことをさらに知りたい方はこちら!